百人一首のゆるい現代語訳を書いています。
今回はNo.71~75です。
ゆる訳 百人一首
71.夕されば 門田(かどた)の稲葉おとづれて 芦のまろやに秋風ぞ吹く(大納言経信)
【訳】夕方になると、門のそとにある田んぼの稲の葉が、そよそよと音を立てます。秋風が、芦で屋根をふいたこの山小屋をさわやかに通り過ぎていきます。
72.音にきく たかしの浜のあだ波は かけじや袖のぬれもこそすれ(祐子内親王家紀伊)
【訳】うわさに名高い、高師(たかし)の浜。そこに打ち寄せる波にかからないようにしましょう。袖が濡れては困りますから。浮気者と名高いあなたには関わらないようにしましょう。裏切られて涙で袖を濡らしては困りますから。
73.高砂のをのへの桜さきにけり とやまの霞(かすみ)たたずもあらなむ(前中納言匡房)
【訳】遠い山の峰に、桜が美しく咲き誇っています。霞よ、どうか立ち込めないでほしい。桜が見えなくならないように。
74.憂かりける人を初瀬の山おろしよ はげしかれとは祈らぬものを(源俊頼朝臣)
【訳】「つれないあの人を、どうか私になびかせてください」と初瀬の観音様に祈ったはずでした。初瀬の激しい風のように「私に冷たくあたれ」と祈ったわけではないのに…。
75.ちぎりおきし させもが露をいのちにて あはれ今年の秋もいぬめり(藤原基俊)
【訳】約束してくれた言葉を、命のように大切に信じて過ごしてきました。それなのに、今年も約束が実らないまま、ただ秋が過ぎていくようです。
読んでくださってありがとうございます。