『走れメロス』は、太宰治が借金のために奔走した体験から生まれたそうです。こういう、歴史のちょっとした秘話というかエピソードが好きです。
先日の『林先生が驚いた2015年10大ニュース』でも紹介されていました。
熱海で豪遊
太宰治は、友人の作家・壇一雄と熱海に滞在中、豪遊して有り金をぜんぶ使い果たしてしまったそうです。お金が払えず、帰るに帰れなくなりました。
お金を借りるため東京へ
太宰は友人の壇一雄を人質として残し、師匠の井伏鱒二にお金を借りるため、ひとり東京に向かったそうです。
『走れメロス』を思いつく
東京に向かう道中にひらめいたのが『走れメロス』でした。
この名作は、太宰治が借金を返すために奔走した経験がもとになっていたんですね。
『走れメロス』は、メロスとセリヌンティウスの友情を描いたお話です。ぼくがはじめて『走れメロス』を読んだのはマンガでした。子どもながら、間に合うのか?間に合わないのか!?とドキドキしながら読みました。
子どもの頃は、外国の人が書いたお話だと思ってました。だってメロスとかセリヌンティウスとかいうから。熱海と東京の話だったんですね。
太宰は戻らなかった
メロスは約束の時間までに戻りましたが、太宰治は熱海に戻ることはなかったそうです。
熱海に戻らず、師匠の井伏鱒二とのんびり将棋を打っていたそうです(笑)
あとでそのことを責められると太宰は、
「待つのがつらいかね。待たせるのがつらいかね」
と答えたそうです。待たせるほうもつらいんだよ、と。さすがの返しです。
友人のもとに戻ったメロスと、戻らなかった太宰。このコントラストがいいですね。