ジオン・ダイクンが語ったニュータイプ像

ガンダム

「機動戦士ガンダム」を読むと、ニュータイプとは何かについていろんな人がいろんなことを言っています。ジオンと連邦、軍人と研究者、兵士と将軍など、それぞれの立場でとらえ方が違います。

ニュータイプ像は人によってバラバラ

ニュータイプという新しい概念を、みんなどう解釈していいかわからないんです。模範解答がない。だから、みんなそれぞれ自分なりのフィルターを通して、自分にとって都合よく、理解しやすく理解している。そんな感じです。

ザビ家は自分たちこそニュータイプと思っている

セイラは「ザビ家の人たちは、自分たちがニュータイプだと思っているらしくてよ」と言っています。(第1巻204ページ)

正確には、ザビ家の中でもギレンですね。ギレンは自分たちが選ばれた支配者という意味でニュータイプだと思っている。

わかりやすいところで、こんな一文があります。

「ギレン・ザビは、意識の拡大しつつある新人類、つまりニュータイプであるジオン公国が人類を管理するというのである。」(第1巻187ページ)

デギンは真のニュータイプを知っている

でもその父デギンは違います。

さすがにニュータイプの提唱者ジオン・ズム・ダイクンと行動をともにした人だけあります。ニュータイプとは本来、ギレンの言うようなモノじゃないとわかっている。

だからデギンは、

「奢るなよ。ギレン。ジオン・ズム・ダイクンのジオン創業の志とは違う」「権力欲望型の人間は、しょせん、前時代のものだ」

と、ギレンの増長をたしなめています。(第1巻143ページ)

とにかくこんなふうに、ニュータイプの概念はガンダムの登場人物の中でもとらえかたがいろいろなんです。

ジオン・ダイクンのニュータイプ像とは

ニュータイプとは何かを知るには、ニュータイプの提唱者であるジオン・ズム・ダイクンの話をきくのが一番ですよね。

でも残念ながら宇宙世紀0079年を描いた「機動戦士ガンダム」という作品には、ジオン・ダイクン本人は登場しません。

だからここは、ジオン・ダイクンの娘であるセイラ・マスの声をきくことにします。ジオン・ダイクンに近い人物です。

アムロとセイラの会話

小説の第1巻パート6に、いいシーンがありました。アムロとセイラがニュータイプについて話しているシーンです。

アムロが言います。

「ほら、人間の意識って判り合える時ってありますよね。そんな、判り合えるって部分だけがパッとつながって人類が理解し合えて、人類全体が協調してゆくっていうの。それが、ニュータイプというのなら、これは、いいです。僕だってその一員になりたいくらいです」

それを受けて、セイラが言います。

「ジオン・ダイクンという人は、そういう新しい認識を持ちあえる人のことをニュータイプと言ったはずなのよ」

わかりあえる部分がパッとつながる

ジオン・ダイクンの提唱したニュータイプとは、アムロが言うように「新しい認識を持ちあえる人」のことなんですね。ジオン・ダイクンの娘、セイラの証言です。信憑性があります。

セイラはちゃんと父の話を聞いていたんですね。

シャアもおなじく聞いていたはずなのに、第1巻パート2ではニュータイプという言葉についてこんなふうに書かれています。

「彼(シャア)自身、この数か月の間に初めてキャッチした概念なのである。」

幼い頃から父が語っていた概念を、ここ数カ月ではじめて知ったというシャア。かわいいです。⇒シャア、人の話聞かない説

まとめ

話がシャアにそれましたが、今回一番注目したかったのは、ジオン・ダイクンがニュータイプをどう語っていたかです。

まとめます。↓

人間の意識はわかりあえるときがある。わかりあえる部分がパッとつながって人類が理解しあえて、人類全体が協調してゆく。そういう新しい認識を持ちあえる人のことをニュータイプという。

小説では、まだまだ他にもニュータイプに関する表現が出てきます。再度小説を読み終えた今だからこそ、ニュータイプに関する記述を拾い上げていくと、点と点がつながりそうな予感がして楽しいです。

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