織田信長のことを書いた本はたくさんありますが、これは信長の家臣をテーマにした本です。
しかも、消えた家臣たちです。
一見、ミステリアス…
織田信長は今の愛知県(尾張)に拠点をもつ小さな勢力からスタートして、岐阜県、滋賀県、京都など、どんどん領土を広げていきました。
信長の大躍進の影で、消えていった家臣たちもたくさんいました。
壮絶な目次
まず目次がすごいです。
第一部 挫折
第二部 粛清
第三部 反逆
家臣がどんなふうに消えていったかが、目次に表されています。目次を見るだけで壮絶な感じがします。
第一部からしていきなり「挫折」って。激しいです。
抜擢に応えられなかった者たち
第一部の「挫折」で興味深いのは、信長の抜擢に応えられずに消えていった武将たちの話です。
権益でもめて失脚した中川重政
たとえば、信長の家臣に中川重政という武将がいました。
彼は「黒母衣衆」という役割に抜擢されます。信長が上洛すると、京都や畿内の政務にたずさわるようになります。宿将の一人として安土城に配置されるようにもなります。
エリートコースです。
でも…
中川重政は、支配地が隣接していた柴田勝家(←おなじく信長の配下の武将ですね)と権益をめぐって争い、その中でもめ事を起こして失脚してしまいます。
敵国を平定できず失脚した簗田広正
簗田広正(やなだひろまさ)という武将がいました。
彼は「馬廻」という身分から出世して、信長から加賀一国を与えられました。といっても、このとき加賀はまだ南半分しか平定されていませんでした。がんばって北半分も平定すれば、加賀が丸々一国もらえるというわけです。
でも簗田広正は加賀をうまく平定することができませんでした。そして、加賀平定戦のリーダーの座を柴田勝家に奪われてしまいます。
粛清と追放
第二部の「粛清」では、伊勢、近江、北陸などさまざまな場所で信長に粛清されていった武将たちについて書かれています。
あとは佐久間信盛や林秀貞、安藤守就など、これまでそれなりに重きをなしてきた武将たちの追放についても書かれています。
反逆と本能寺の変
第三部の「反逆」では、信長に反逆して消えていった人物たちについて書かれています。松永久秀、荒木村重そのほかいろいろです。あとは本能寺の変です。信長の人生で起こった最大の反逆事件といえば本能寺の変です。
消えていった人物たち
信長の家臣としてパッと浮かぶ名前って、何人もいますよね。すさまじい競争を勝ち抜いて、家臣としての成功街道をばく進した人物たち(秀吉とか勝家とかいろいろ)です。
その影で、消えていった人物たちもたくさんいます。この本に触れると、消えていった人物たちの人生にも思いをはせたくなります。