『尻啖え孫市』 尊敬する人の言葉でも鵜呑みにしない

いま、司馬遼太郎さんの歴史小説『尻啖え孫市』を読んでいます。

ここ最近、この小説の感想をブログに書いています。

以前に書いた記事はこちらです↓

『尻啖え孫市』 自分なりの価値観をつらぬく人はカッコいい
『尻啖え孫市』 どんなことでも、どうにでも解釈できる

 

小説の主人公は、戦国時代の鉄砲の名人・雑賀孫市です。

が。

今回は、孫市のことではなく、この小説に出てくる羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)のことです。

 

秀吉が信長の考え方に反対するシーンがあります。反対といっても、声に出して反対するのではなく、頭の中でです。

いきさつは、こうです。

 

あ。

多少のネタバレがあるので、読みたくない方はそっと退避をお願いいたします。

 

ネタバレといっても、そもそもが歴史を題材にした小説なので、バレるも何もないのかも知れませんが。念のためにネタバレ予告させていただきました。ぺこり。

 

では、はじめますね。

秀吉が信長の考え方に反対した、という話です。

 

小説の中で信長は、鉄砲の名人の雑賀孫市を、自分の味方に引き入れたいと考えました。

信長はストレートに誠意を伝えず、策を弄して仲間にしようとしました。

でも、へたに策を弄したために、結局、孫市は敵方についてしまいます。

信長の失敗です。

 

秀吉は、信長のやり方に反対でした。

以下、秀吉の考えの引用です↓

 

殿がわるいのじゃ。もともと、あのようなカラクリなどを用いず、至誠をつくして勧誘な(いざ)い、できれば一軍の将にでもしてやればこちらに来ている男だった。

わしならば上様のようにはせぬ。

 

と、秀吉は頭の中で信長を批判します。

 

司馬遼太郎さんの作品に出てくる秀吉は、たまにこうやって信長を心の中で批判します。たしか、『新史太閤記』でも、そんなシーンがありました。

司馬遼太郎さんの作品に出てくる秀吉は、けっして信長のことを無能だと思っているわけではありません。むしろ、「さすが」と思うことも多く、どちらかというと尊敬しているほうだと思います。

その尊敬している信長の意見に対しても、秀吉は鵜呑みにせず、一度自分の頭で考えて「良い」、「悪い」の判断をしています。

尊敬している人の言葉を鵜呑みにしないっていうのは、できそうでできないことですよね。と、そんなことを感じたので、ここに感想をメモしてみました。

おしまい。

新装版 尻啖え孫市(上) (講談社文庫)
新装版 尻啖え孫市(下) (講談社文庫)

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