司馬遼太郎・著「義経」の感想

歴史小説です。

主人公は、平安時代末期に活躍した武士、源義経です。

悲劇のヒーローとか、天才戦術家とか、いろいろ言われています。

義経〈上〉 (文春文庫)

日本の歴史といえば、武士ですよね!(←独断と偏見)

そんな武士も、もちろんはじめから存在していたわけじゃなく、10世紀になってから出現しました。

武士が日本を仕切るようになったのは、12世紀の後半です。

これからは武士の時代

12世紀の後半になにがあったのかというと…。

平清盛という武士があらわれたんです。

彼が幅を利かせるようになって、武士もなかなかやるな、みたいな空気になりました。

武士が政権をとる

そういう準備段階みたいなものがあってから、いよいよ本格的に、「ジャーン! 武士の政権の誕生で~す!」ってことになります。

それが幕府です。

以後、約700年間、日本では幕府(つまり武士による政権)の時代がつづきます。

最初の幕府をつくった男

日本で最初にできた幕府は、鎌倉幕府です。

この小説の主人公、源義経は、鎌倉幕府の誕生にものすごく貢献した人物です。

鎌倉幕府をつくった男です。

高い貢献度

もちろん、鎌倉幕府の創設者は、教科書的には義経ではありません。

その兄の源頼朝です。

だから「鎌倉幕府をつくった人は?」という質問には、「源頼朝です」と答えるのが正しいです。

 

 

でも、ある意味では「鎌倉幕府をつくったのは源義経です」と答えてしまってもいいくらい、義経の貢献度は高かったんです。

じゃあ、どんなふうに貢献したのかというと…。

戦術の天才

義経は、兄・頼朝の敵をじゃんじゃんやっつけたんです。

部隊をひきいて、合戦をして、どんどんやっつけていきました。

 

 

鎌倉幕府は、兄・頼朝でなければつくれなかったのも事実なら、義経がいなければつくれなかったのも事実。

小説を読んでそんなふうに感じました。

悲劇のヒーロー

たしか司馬遼太郎さんがこの小説の中で言っていたと思うんですが(別のところで読んだんだったかな…)、義経は日本最初の国民的ヒーローになった人だそうです。

小説の中で書いているとしたら、フィクションの可能性もあるので、事実かどうかわかりませんが。それに近いものはあったと思います。

 

 

つねに常人の発想の上をいく義経は、合戦で連戦連勝を重ねます。

それは見ていて痛快でもあり、あやうくもあります。

 

 

よく「発想の斜め上をいく」という表現がありますよね。

義経はまさにそれなんです。

作戦をつくるときにその才能がきらめくと、無敵です。

 

 

でも、常人と発想がかけはなれていることは、義経のばあい、政治的なもろさにつながりました。

それが義経の命取りになったんです。

兄のために戦って、兄によって滅ぼされた悲劇のヒーローです。

義経〈上〉 (文春文庫)
義経〈下〉 (文春文庫)

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