上杉謙信がバラバラな組織をまとめた方法(知恵泉)

上杉謙信。人気のある戦国武将ですよね。すぐれた武将がつぎつぎと出現した戦国時代の中でも、最強とうたわれています。軍神。カリスマ。義の武将。

戦国最強 勝率95%

NHK『知恵泉』によると、上杉謙信はその生涯において、いくさの勝率95%だったそうです。ほとんど負け知らず。驚異的な数字です。

部下をまとめられず悩む

強いカリスマ性と統率力をもつイメージの上杉謙信ですが、配下の武将たちをうまくまとめられず、悩んだ過去がありました。

土地の領有権をめぐって部下同士が勝手にいくさを始めたり…。戦場では、部下が敵(武田信玄)に恐れをなして勝手に帰国したり…。まとまりのない組織でした。

嫌気がさして引退宣言

あまりのまとまりのなさに疲れ果てた上杉謙信は、「越後すべてに嫌気がさしました」と引退を宣言して、寺に引きこもってしまったこともありました。その後、部下たちに懇願されてもとに戻っています。

なぜまとまらないのか?

戻ってきた上杉謙信は、どうすればバラバラな組織がまとまりのある組織になるか悩みました。

みんなをまとめるためには、大きな求心力が必要だと考えました。

義の旗をかかげる

謙信が考えた求心力。それが「義」でした。私利私欲のためではなく、みんなのため、世の中のため、正義のために戦うという気持ち。義の精神です。謙信は自分のいくさは義のいくさだとアピールし、部下たちの心をつかんでいきました。

実際の謙信は、遠征先で略奪をしたり、捕虜を売買するなど、一般的な戦国武将とおなじく、けっして義とはいえない行動をとっていました。にもかかわらず、あえて義をかかげたのは、みんなの心をひとつにするためです。

謙信は人々に応援してもらえる義という共通の旗をかかげ、それを唱えつづけることで、みんなをまとめました。義のために戦っている、というモチベーションを部下たちに与えたんですね。

みんなにワクワクをふりまく

謙信は部下たちをワクワクさせることで、やる気をアップさせました。出陣前、謙信は全軍をあつめて神にいくさの勝利を祈願しました。武てい式と呼ばれる儀式です。

打ち鳴らされる太鼓。幻想的なかがり火。その荘厳な雰囲気は、部下たちの心を高ぶらせました。謙信は部下たちをワクワクさせて、テンションをアップさせたんですね。

その儀式のあとは、パーティです。ふだんは質素倹約につとめていた上杉家ですが、このときばかりは豪華な食事が並びます。出陣前のこの贅沢な食事は「上杉のお立ち飯」といわれ、謙信みずから部下たちにふるまったといいます。「お立ち飯」ということは、立食パーティのようなものだったんでしょうね。

部下たちは飛び上がってよろこび、やる気満々で出陣していったそうです。

自ら最前線へ

謙信は、戦場では自ら最前線に立って戦った、とも言われています。謙信のこのスタンスに感銘を受けた近衛前久は、謙信への手紙で「自ら率先して打ちかかったとのこと。天下の誉れです」と感動を伝えています。謙信の姿は、味方の兵に勇気を与えたことでしょうね。

バラバラの組織が最強の軍団に

こうした謙信の知恵と努力の結果、はじめはバラバラだった組織が、高い結束力をほこる戦国最強の軍団へと生まれ変わりました。謙信もいろいろと苦労しているんですね。

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