小説「機動戦士ガンダム」1巻の感想 小説だから見える世界

先日、実家から「機動戦士ガンダム」関連の書籍をごっそり持ってきました。

その中の1冊がこちらです。

じゃーん!

機動戦士ガンダム〈1〉 (角川文庫―スニーカー文庫)

「機動戦士ガンダム」の小説。

第1巻です。

カバーイラストで、シャアがいきなり素顔をさらしています。

今なら意味がわかる

子どもの頃に読んだこの小説。

ひさしぶりに読み返してみると…

今なら意味がわかる、という単語があります。

例えば、「コンパネ」。

コンパネはコントロールパネル

「計器盤」という漢字に「コンパネ」とフリガナがふられています。

この小説をはじめて読んだのは、中学生のときです。

その頃のぼくは「コンパネ」の意味がわかりませんでした。

今なら、

ああ、コントロールパネルのことなんだな。

とわかります。

小説の薄皮をむいたみたいで、ちょっと嬉しいです。

アニメは妙にリアルだった

小説の話から、ちょっとだけアニメの話です。

「ガンダム」のアニメは、それまでのロボットアニメとはちがって妙にリアルでした。

たとえば…

正義も悪もなく、立場のちがいによって人は戦うということ。

主人公のロボット(正確にはモビルスーツ)も無敵ではなく、補給を考えたり、弾薬切れやエネルギー不足を心配しながら戦わなきゃならないこと。

などです。

小説も妙にリアル

小説でも、そのリアルさは健在です。

上にあげた例のほか、小説ならではのちょっとしたリアルさがあります。

アニメではわからない、文章ならではのリアルさです。

コア・ファイターはタマゴを回すように操縦する

主人公のアムロ・レイ。

彼がコア・ファイターを操縦する場面で、こんな表現が出てきます。

 

アムロは(中略)操縦桿を軽く左にめぐらした。卵立ての卵をまわすように、軽く、だ。

 

パイロット候補生のアムロは、操縦桿のあつかい方を、そんなふうに習ったんです。

リアルです。

ぼくらはアニメを見ているとき、コア・ファイターのパイロットが操縦桿をそんなふうに操作しているなんてわかりませんでした。

それが小説だとわかるんです。

おもしろいです。

小説ならではのおもしろさを、もう一つ。

サンバイザーの色

モビルスーツのパイロットたちは、ヘルメットをかぶっています。

そのヘルメットには、顔の部分をおおうサンバイザーがついています。

サンバイザーには、いろいろな色があります。

たとえば…

カミーユのサンバイザーは、緑っぽいです。

↓こちら

機動戦士Z(ゼータ)ガンダム〈第1部〉カミーユ・ビダン (角川文庫―スニーカー文庫)

あと…

宇宙世紀0093年のアムロのサンバイザーはオレンジ色です。

↓こちら

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア―ベルトーチカ・チルドレン (角川文庫―スニーカー文庫)

ぼく、このオレンジのサンバイザーが一番好きです。

それはさておき。

こんなふうにサンバイザーには、いろいろな色があります。

サンバイザーは内側から見ると無色透明

このサンバイザーについて…

小説では、こんなことが書かれています。

 

サンバイザーは内側から見る限り無色透明である。

 

これにハッとしました。

そうか。そうですね。うん。

ぼくはアニメを見ているとき、サンバイザーを内側から見たときのことを考えている暇はありませんでした。

小説ならではの、ハッとする感覚です。

サンバイザーの話を、もう少し。

宇宙の静寂

小説には、こんな文章もあります。

 

宇宙の静寂さは、そのサンバイザーとコア・ファイターのキャノピーを通してアムロに伝わるのだ。

 

キャノピーとは、コア・ファイターのコックピットをおおうあの透明のやつですね。

この文章にもハッとしました。

パイロットが宇宙を感じるのは、サンバイザーとキャノピーを通してなんです。

アムロの目線で世界を見る

つまり。

何が言いたいかというと…

アニメでは「」から登場人物たちを見てきました。

小説では、「」から、登場人物たちの目線で、世界をながめることができます。

アムロの目線で、シャアの目線で、ブライトさんの目線で、世界を見ることができるんです。

まとめ

「外」から見ていてさえ絶妙にリアルだったガンダムの世界。

それを、人物それぞれの目線で見ることができるとなったら、表現されるリアルさの幅が広がります。

ガンダムの小説には、そんな楽しみがあります。

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