あーりーです。
『まんがで読破 ドグラ・マグラ』。
グロテスクで、ほんの少し幻想的なストーリーです。
夢野久作の小説をマンガ化したものです。
読むと発狂する本として有名なんだそうです。
怖い…。
もともとは小説です。
ぼくが読んだのはマンガでした。
そのおかげか、発狂はしませんでした。
あるいは…
すでに発狂していて、自分でそうだとは気付いていないのかも知れません。
なんてね。
精神科学
精神科学にまつわる怪事件のはなしです。
細胞の一つ一つに、先祖からの記憶が宿っている…
という考えを軸にした謎解きです。
百手先まである
読み始めてすぐに「わかったぞ。この謎の真相はこうだな」と先が読めました。
読みは当たりました。
でも、それだけでは足りませんでした。
謎には、もっと先があったんです。
本当は百手先まである謎を、ぼくは二~三手先までを読んで、すべてわかった気になっていたんです。お恥ずかしい…。
その後は、自分の不明を恥じるヒマもなく、怒涛の勢いで物語に引きずり込まれました。
読んでいるときの感覚
読んでいる途中は、のどの奥や脳の中をミミズが這っているような気分になりました。
読み進むにつれて、ねっとりとしたものが肺に溜まっていくようで、だんだん読むのがつらくなってきました。
事実が解明されるスピード感
それでも終盤は、つぎつぎと事実が明らかになっていくスピード感に救われて、ページをめくることができました。
めまい
たたみ掛けるようなタネ明かし。衝撃的な真相の連続に、脳が揺さぶられました。
読後感を一言であらわすと、めまい、です。
読んで良かった。おもしろい話でした。
手に取るのをためらう
もう一度読みたいか?と聞かれれば、間違いなく読みたい。
でも…
手に取るのをためらいます。
いま本棚にこの本があります。
『ドグラ・マグラ』と書かれた背表紙が見えます。
なんということはない『ドグラ・マグラ』の文字が、まがまがしく見えます。
大事なものを失ってしまいそうな怖さ
もう一度読みたいと思っているはずなのに、手に取れない。
読むと、大事なものを失ってしまいそうな怖さがあるんです。
大事なものって何なのかわかりませんが、なんとなく、そういう不穏さがある。
だから、いつも背表紙を見るだけで、結局触れることなく終わります。
『ドグラ・マグラ』にふれないことで、平穏な日常が守れている。
そんな錯覚さえおぼえます。
小説
マンガでこの読後感をかもし出すんですから、きっと小説のほうはよほどすごい迫力なんでしょうね。
体調や心の調子のいいときに読まないと、本に飲みこまれてバランスを崩してしまいそうです。