簡単にいうと、織田信長はなぜお金持ちだったのか?を解き明かす本です。
織田信長は、ほかの戦国武将にくらべて、圧倒的にお金持ちだったんです。
兵農分離はお金がかかる
織田信長は「兵農分離」をしたことで有名です。
これにはお金がかかります。
兵農分離をするには、一年中はたらける専門の兵士がいります。
専門の兵士を雇っておくだけのお金が、当然かかりますよね。
鉄砲もお金がかかる
あと信長は、鉄砲をたくさん使用したことでも有名です。
これも、もちろんお金がかかります。
信長はお金持ち
ぼくの大好きな『信長公記』によると…
斎藤道三と対面したとき、信長はすでに500人の弓・鉄砲隊を組織していたといいます。
また…
足利義昭をつれて上洛したときには、朝廷や幕府にたくさんのお金を寄付しています。
「信長公は金、銀、米、銭に不足することがなかった」と記されています。
お金持ち!(・∀・)
じゃあ、信長はそのお金をどこから調達したのか、っていう話です。
寺・城・港
この本では、信長がお金持ちな理由を、
寺・城・港の3つのキーワードで解き明かしています。
たとえば、そのうちの一つ、城。
城を建てるとお金が儲かる
信長はよく居城をうつす武将でした。
つぎからつぎへ転々としています。
新しく獲得した領地には、すぐさま城をたてました。
たとえば…
尾張を平定したあとには、清州城にうつっています。
美濃をとったあとには、岐阜城をたてています。
近江をうばったあとには、安土城をたてています。
こんなふうに、信長はつねに「旧敵地」にあたらしい城をつくってきました。
これがお金持ちの秘密だというんです。
徴税がスムーズになる
信長があたらしい城をたてることで…
「その地域の新しい支配者がだれであるか認識させ、徴税をスムーズにする」効果があったといいます。
誰に税金を払えばいいの?
当時は戦国時代で、土地の支配者がよく入れ替わったり、領民がその時その時の強いものに味方するためコロコロ風向きを見ることもあったので…
領民としては「おれたちはいったい誰に税金を払えばいいの?」という問題がありました。
おれに払えばいいんだよ
そこで信長は、お城をバーンとたてて…
「今日からおれがココの支配者だ。おれに税金を払えばいいんだよ。悪いようにはしないから」
とみんなに示したんだそうです。
こうすることで…
領民たちは支配者が変わったことを思い知ります。
城は強さのシンボルです。
信長はあたらしい城をつくって、新時代の到来を告げました。
そして、「おれに従っていれば大丈夫。ほかのやつには税金を払う必要ないよ」という安心感(威圧?)を領民に与えたんですね。
なるほど~。
たしかに信長は常備軍をもったり、鉄砲をもったり、上洛したりと、お金のかかることを平気でしますよね。
あのお金はどこから出てるのか不思議でしたけど、その秘密の一端が、城にあったんですね。
戦国時代を経済で読み解く
と、こんなふうに…
この本は織田信長を経済の面から読み解く本です。
いまのお城の話は、ほんの一例です。
ほかにも…
遠隔地の物流のはなしや、長篠の戦いの経済戦争な一面や、知ってるようで知らない本当の楽市楽座のことなど。
信長の戦いを「経済」の面から、明快に解説しています。
この本、ぼくが今まで読んだことのある信長解説本の中ではあきらかに異質ですし、ほかの本に書いてないことがたくさん書いてあるし、内容が濃いです。