息子モルガンはフランスに投資した。
しかし、フランスは戦争に負けそうだった。
J・S「このままだと、スッカラカンだぞ」
息子モルガン「父さん、僕は偉大な息子です」
J・S「今そんな自己紹介いらない!」
息子モルガン「偉大な人間の共通点を知ってますか? 初志貫徹ですよ」
J・S「え?」
息子モルガン「僕はフランスに投資しつづけます」
J・S「やめろ。本当に破産するぞ」
息子モルガン「フランスの公債をじゃんじゃん買いつづけます」
そして……。
J・S「フランスがついに降伏したぞ」(1871年、フランス降伏)
息子モルガン「むむっ」
J・S「これで、スッカラカンだ」
息子モルガン「怒りのやり場がありませんね」
J・S「あるよ。おまえだよ(涙)」
息子モルガン「父さん、大丈夫です。きっとなんとかなりますよ」
ここはフランス。
フランスでは、これまでのナポレオン3世に代わって、共和主義者たちが政治の主導権を握ろうとしていた。
ナポレオン3世「えへ♪」
共和主義者「えへ♪ じゃないよ」
ナポレオン3世「戦争、負けちゃいました~」
共和主義者「明るく言ってもダメ」
ナポレオン3世「許して」
共和主義者「許さない。皇帝、クビ!」
ナポレオン3世「皇帝をクビにしたら、政治、困るしょ」
共和主義者「おれたちがやるよ」
ナポレオン3世「ていうか、君、だれ?」
共和主義者「おれね、共和主義者」
ナポレオン3世「何それ」
共和主義者「人に優しい政治をする人たち」
ナポレオン3世「うわ、ウソくさっ」
共和主義者「ウソじゃないよ」
ナポレオン3世「じゃ、まあ、今後のフランスは頼んだよ」
共和主義者「うん。まかせて」
ナポレオン3世「借金も返しておいてね」
共和主義者「は? 借金?」
ナポレオン3世「うん。フランスの借金」
共和主義者「どんくらいある?」
ナポレオン3世「なまらあるよ」
共和主義者「そういう負の遺産、やめてや」
ナポレオン3世「やだ?」
共和主義者「やだ」
ナポレオン3世「じゃあ、借金、踏み倒せば?」
共和主義者「そういうのもありなの?」
ナポレオン3世「ありだよ。そのかわり……」
共和主義者「?」
ナポレオン3世「それってぜんぜん人に優しい政治じゃないけどね」
共和主義者「……」
ナポレオン3世「あの人たちホントは人に優しくないよ、って言いふらすけどね」
共和主義者「……」
ナポレオン3世「ネットで拡散するけどね」
共和主義者「わかったって。返すから」
1873年。
フランスは借金をきちんと返済した。
フランス公債が額面どおり償還されたため、フランス公債を大量に保有していたモルガン一家は巨万の富を手に入れた。
息子モルガン「初志貫徹の勝利です」
J・S「おまえには参ったよ」
息子モルガン「これでモルガン商会も一流の金融家です」
J・S「一流の金融家は、おれの夢だった」
息子モルガン「夢が叶いましたね」
J・S「おまえのおかげだ。ありがとう」
息子モルガン「僕の夢は、これからです」
J・S「おまえの夢って?」
息子モルガン「父さん、僕は世界を征服したいんです」
息子モルガン(J・P・モルガン)の世界征服がはじまる。