1870年のフランス。パリを訪れた息子モルガンは…
息子モルガン「パリはいいところだなぁ~。でも詐欺には気をつけないと」
ナポレオン3世「ちょっと、ねぇ君」
息子モルガン「はい。あなたは?」
ナポレオン3世「おれは……」
息子モルガン「あ、詐欺師ですね?」
ナポレオン3世「違うよ。おれの顔、知らないの?」
息子モルガン「さぁ……」
ナポレオン3世「おれだよ、おれ、フランス皇帝」
息子モルガン「おれおれ詐欺か」
ナポレオン3世「違う。ナポレオン」
息子モルガン「ナポレオンは1821年にセントヘレナで死にました」
ナポレオン3世「おれね、その親戚。3世」
息子モルガン「はいはい。わかりましたわかりました」
ナポレオン3世「絶対わかってない口調だよね」
息子モルガン「で、御用は?」
ナポレオン3世「お金、貸して」
息子モルガン「直球勝負の詐欺ですね」
ナポレオン3世「違うって。話、聞いて」
息子モルガン「いいですよ」
ナポレオン3世「今、フランスは戦争中なのさ」
息子モルガン「どこと?」
ナポレオン3世「プロイセン王国と」
息子モルガン「ほう」
ナポレオン3世「で、軍資金が足りないんだよね」
息子モルガン「はい」
ナポレオン3世「だから、貸して」
息子モルガン「巨大財閥から借りれば?」
ナポレオン3世「例えば?」
息子モルガン「なんといってもやはり、ロスチャイルド財閥」
ナポレオン3世「ダメ。断わられた」
息子モルガン「では、それと肩を並べる、ベアリング財閥」
ナポレオン3世「ベアリング財閥はプロイセンの味方だもん」
息子モルガン「困りましたね」
ナポレオン3世「ね、貸して。戦争に勝ったら利子つけて返すから」
息子モルガン「負けたら?」
ナポレオン3世「気持ちで返す」
息子モルガン「いりません」
ナポレオン3世「じゃあ、ポスターで返す」
息子モルガン「いりません」
ナポレオン3世「聖徳太子のだしね」
息子モルガン「え、何枚ですか?」
ナポレオン3世「うそぉ! そこで喰いつくの?」
息子モルガン「僕も聖徳太子ファンなんですよ」
ナポレオン3世「おれは、べつに……」
息子モルガン「長谷川京子と聖徳太子には目がなくて」
ナポレオン3世「そうなの?」
息子モルガン「あ、十七条憲法のDVD、見ました?」
ナポレオン3世「見てないけど……」
息子モルガン「ラストとか、すごいイイっすよ」
ナポレオン3世「そうなの(汗)」
息子モルガン「なんだ、聖徳太子仲間か~♪」
ナポレオン3世「いや、えーと……」
息子モルガン「お金くらい、うちの会社から融資しますよ」
ナポレオン3世「あ、ありがとう」
J・S・モルガン商会はフランスへの融資を決め、フランス発行の公債を大量に買い込んだ。
(公債を買うということは、その国に投資するということ)
息子モルガン「父さん、ただいま~」
J・S「おお、息子よ。パリはどうだった?」
息子モルガン「ナポレオン3世にお金を貸してきました」
J・S「ナポレオン3世に?」
息子モルガン「はい」
J・S「フランスが戦争に負けたら、スッカラカンだぞ」
息子モルガン「逆に、勝てば大儲けです」
しかし。
J・S「息子よ。ニュースを見てみろ」
息子モルガン「なんですか?」
J・S「フランスが負けそうだ」
息子モルガン「えぇっ」
J・S「ナポレオン3世がセダンの戦いで捕虜になった…」(1870年)
息子モルガン「そんな( ̄□ ̄;)!!」
J・S「このままだとスッカラカンになってしまうぞ(涙)」
だが、そうはならなかった。
逆にこれはチャンスとなった。
モルガン一族はこの戦争を契機に、ロスチャイルド、ベアリングと並ぶ巨大財閥の仲間入りを果たすことになる。