J・S・モルガンには息子がいた。
J・S・モルガンとその息子J・P・モルガンの会話。
J・S「息子よ」
息子モルガン「はい」
J・S「ピーボディさんが引退して6年になる」
息子モルガン「そうですね」
J・S「社名もJ・S・モルガン商会と変えて頑張ってきた」
息子モルガン「はい」
J・S「しかし、いまいちパッとしない」
息子モルガン「はい」
J・S「なにかいい方法はないだろうか?」
息子モルガン「すべてのビジネスの基本は、時代の流れに敏感になることです」
J・S「なるほど」
息子モルガン「いつまでも若い感覚を大切にしましょう」
J・S「一理ある」
息子モルガン「ナウい男になるんです」
J・S「は?」
息子モルガン「おっと、若者言葉が出てしまいました」
J・S「今のは若者言葉なのか?」
息子モルガン「はい。最先端のヤングな言葉です」
J・S「ヤング……」
息子モルガン「ヤングの間でフィーバーしてる言葉です」
J・S「フィーバー……」
息子モルガン「僕はセンスの神に愛されています」
J・S「息子よ、きっと違う神だ」
息子モルガン「父さん」
J・S「ん」
息子モルガン「僕はパリに行きます」
J・S「なぜ?」
息子モルガン「パリは流行の発信地です」
J・S「うん」
息子モルガン「パリに行って、この素晴らしいセンスをさらに磨いて来ます」
J・S「それがいい。ちゃんと磨いたほうがいい」
息子モルガン「戻ってきた僕を見て驚かないでくださいよ」
J・S「もう、驚いたけどね」
息子モルガン「あした出発します」
J・S「パリは戦地だから気をつけて」
息子モルガン「はい」
J・S「それから、パリの詐欺師は腕がいいっていうから、変な話にホイホイついて行かないように」
息子モルガン「わかってますよ」
息子J・P・モルガンはパリに旅立った。