楠木正成のゆるい伝記 第11話 本当の英雄

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テレビのニュース番組。

司会者「さて、コメンテーターのデープさん」

デープ「意外と英語がうまいデープです。よろしく」

司会者「天皇がまた反乱を起こしましたね」

デープ「はい」

司会者「この狙いはなんでしょうか?」

デープ「天皇の狙いは、幕府を倒すこと、そして天皇中心の政治をはじめることです」

司会者「うまくいくでしょうか?」

デープ「不可能な夢です」

司会者「なぜです?」

デープ「いまや天皇に政治能力はありません。政治は幕府にまかせておくべきです」

司会者「しかしデープさん、過去には、天皇が政治の中心になって頑張っていた時代もありましたよね」

デープ「世にいう、延喜・天暦の治ですね」

司会者「古き良き、平和な時代でした」

デープ「でもそれは10世紀前半の話です。今は14世紀ですよ。」

司会者「そうですね」

デープ「時代は変わったんですよ。14世紀の我々から見ると、今さら天皇中心の政治だなんて、バカげたことです」

ここは金剛山の千早城。

ニュースを見ていた楠木兄弟の会話。

楠木「うわ~。天皇さん、思いっきりバカげてるって言われてる…」

七郎「うん」

楠木「大丈夫かな、うちらのリーダー」

七郎「話変わるけどさ、兄ちゃん」

楠木「ん?」

七郎「そこのソファ、やたらゴトゴト動いてるけど、いいの?」

楠木「ホントだ。気持ち悪っ」

七郎「怪奇現象かな」

楠木「いや、七郎。じつはね、ソファの下に抜け道、作っといたんだよね」

七郎「また?」

楠木「その抜け道を使って誰かがここに侵入して来ようとしてるのかも」

七郎「やばいしょ」

楠木「あ、ほら、ソファの下から誰か出てきた」

幕府があらわれた。

幕府「ジャーン」

楠木「うわ。……幕府さん」

幕府「びびった?」

楠木「は、はい。意外でした」

幕府「まさかジャーンって言うとは思わなかった?」

楠木「いえ、登場したことが意外でした」

幕府「遊びに来ちゃった。敵だけど」

楠木「よく抜け道がわかりましたね」

幕府「おれ、抜け道マニアだから」

楠木「そうなんですか」

幕府「『月刊抜け道』を購読してるんだ」

楠木「今にも廃刊しそうな雑誌ですね」

幕府「楠木くん。」

楠木「は、はい」

幕府「友達になろう」

楠木「は?」

幕府「おれね、きみに一目おいててさ」

楠木「なんで?」

幕府「きみ、この前、うちの幕府軍と互角に戦ったしょ」

楠木「互角っていうほどでも……」

幕府「熱湯使ったりして、頑張ったしょ」

楠木「はい。まあ」

幕府「ナイスファイト!」

楠木「あ、ありがとうございます」

幕府「(親指を立てて)ナイスファイト!」

楠木「……は、はい」

幕府「(歯を輝かせて)ナイスファイト!」

楠木「……」

幕府「きみ、あれでしょ、前の仕事リストラされたんでしょ?」

楠木「はい」

幕府「それで反乱軍に参加することになったんだよね?」

楠木「そうなんですよ」

幕府「おれがいい仕事紹介してあげる」

楠木「本気で言ってます?」

幕府「うん。履歴書持って、うちにおいで」

楠木「でも、え、どうしようかな」

幕府「反乱軍にいたって、いいことないよ」

楠木「はぁ」

幕府「テレビでもよく言ってるしょ」

楠木「?」

幕府「天皇の夢はバカげてるって」

楠木「あ、さっきもニュースで言ってました」

幕府「ね。反乱なんてやめちゃいな」

楠木「でも、ぼく、英雄になりたいんですよ」

幕府「英雄?」

楠木「はい。どうせ1回の人生だし」

幕府「楠木くん、おれたち幕府はね、60年前、この国を守るためにモンゴルと戦ってさ」

楠木「なんか、聞いたことあります」

幕府「そして今また、きみたち反乱軍と戦おうとしてる」

楠木「はい」

幕府「国を守ろうとする者と、国を壊そうとする者、どっちが本当の英雄なんかなぁ」

楠木「……」

幕府「話はそんだけ」

楠木「……はい」

幕府「気が向いたらいつでも来てね。じゃ!」

幕府は去った。

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