というわけで。楠木正成はふたたび天皇の反乱を手伝うことになった。
七郎「でもさ、兄ちゃん」
楠木「うん」
七郎「勝算あるの?」
楠木「ある」
七郎「でもこっち兵力ないじゃん」
楠木「あ、兵力はね、いらん」
七郎「?」
楠木「兵力なしで勝つ方法、発見したんだ」
幕府のようす。
家臣「幕府さん」
幕府「ん」
家臣「また反乱です」
幕府「またぁ?」
家臣「はい」
幕府「またあの天皇?」
家臣「あと、楠木も」
幕府「じゃあ、また足利さんに鎮圧してもらうか」
家臣「でもそれ、無理っすわ」
幕府「どして?」
家臣「一応さっきお願いしてみたんすよ、足利さんに」
幕府「うん。したら?」
家臣「ヤダって」
幕府「え。断わられた?」
家臣「はい」
幕府「なんで?」
家臣「お腹痛いって」
幕府「言い訳が小3だ」
家臣「どうします?」
幕府「じゃ、他の武士に頼むしかないよね」
家臣「あ、幕府さんのケータイ、鳴ってますよ」
幕府「お。ホントだ」
幕府はケータイに出た。
幕府「もしもし、幕府です」
天皇「よぉ」
幕府「だれ?」
天皇「おれおれ、天皇」
幕府「天皇? 敵でしょ」
天皇「敵だけど電話しちゃいました~」
幕府「なにさ」
天皇「一応、反乱のごあいさつ」
幕府「そんなのいらんて」
天皇「またあれなの? 足利高氏が鎮圧に来るの?」
幕府「いや、それね、違うんだよね」
天皇「ほう」
幕府「足利さんに反乱の鎮圧、お願いしたんだけどさ、断わられちゃって」
天皇「マジ?」
幕府「マジ」
天皇「どうすんのさ」
幕府「いや、だれか他の武士に鎮圧してもらうよ」
天皇「鎮圧しないっていう手もあるしね」
幕府「ないけどね」
天皇「でもさぁ、他の武士が、きみのために本気で戦ってくれるかな」
幕府「どういうこと?」
天皇「だって、幕府と武士ってけっこうギクシャクしてるよね」
幕府「してないって」
天皇「してるしょ、あの事件以来」
幕府「あの事件?」
天皇「60年前のあの事件」
幕府「……」
天皇「日本史に残る大事件だったよね、あれ」
幕府「いや、世界史かもよ」
天皇「そうだね」
幕府「あんまり、思い出したくないけど」
天皇「あの日から、幕府と武士の関係は崩壊したんだよ」