幸村の父親は倒れた。
ここは幸村の父親の病室。
父親「最期にありがとうって言って死ねる人生って…」
幸村「……」
父親「なんかいいよね」
幸村「縁起悪いってそんな話」
父親「幸村、お別れだ」
幸村 p(´⌒`。q)うぅ
父親「泣くな」
幸村「死ぬの怖くないの?」
父親「ははは。お父さんに怖いものはないよ」
幸村「でも、死んだら三途の川を渡るんでしょ?」
父親「そうだね」
幸村「三途の川って、かなり流れが速いらしいよ」
父親「え、そうなの?」
幸村「上流から岩石がドバドバ流れてくるらしいよ」
父親 Σ( ̄□ ̄;)
幸村「しかも、川底に大蛇がいるらしいよ」
父親 Σ( ̄□ ̄;)
幸村「怖いしょ?」
父親「ぜ、全然…」
幸村「怖いから、生きな」
父親「こ、こ、怖くないよ」
幸村「生きてよ」
父親「例えばさ、川原にきれいな花が咲いてるとか思えば、怖くない」
幸村「そんなわけないしょ」
父親「わからんよ」
幸村「どんな花さ」
父親「一面にパーッと赤い花とか」
幸村「……」
父親「そんなわけ、ないか(笑)」
幸村「お父さん。これ、受け取って」
父親「お金?」
幸村「うん。6文」
父親「どうしてまた」
幸村「三途の川には渡し舟があってね、その料金が6文なんだって」
父親「そうか」
幸村「ちゃんと船に乗せてもらうんだよ」
父親「ありがとう」
1611年。幸村の父親(真田昌幸)は亡くなった。
数日後。
幸村と見張りの兵士の会話。
兵士「幸村さん」
幸村「ああ、兵士くん」
兵士「お葬式は…?」
幸村「無理っぽいね」
兵士「無理って?」
幸村「幽閉中の身だから、幕府の許可がないと」
兵士「許可、もらいましょうよ」
幸村「お願いしてみたけどダメだった」
兵士「え」
幸村「幕府にとっては謀反人だからね、おれたち親子」
兵士「そんな…」
幕府は幸村の父親の葬儀をゆるさなかった。