横山光輝さんのマンガ『三国志』と、
むかしの中国で書かれた『三国志演義』。
この2つを読み比べてみると、いろいろな違いがあって面白いです。
横山三国志と『三国志演義』の読み比べ
今回も、日本人になじみの深い横山光輝さんのマンガ『三国志』と、さまざまなエンタメ系三国志の元ネタとなった『三国志演義』の違いを読み比べながら、三国志の世界を楽しんでいきたいと思います。
劉備は張飛を通じて関羽と知り合う(横山三国志)
横山光輝さんのマンガ『三国志』では、関羽と張飛はもともと知り合いでした。
劉備は、この2人のうち、まず張飛と知り合います。
その後、張飛を通じて関羽と知り合います。
劉備は居酒屋で偶然、関羽と出会う(三国志演義)
元ネタの『三国志演義』では、ちょっと違います。
そもそも、関羽と張飛は、以前からの知り合いではありません。
出会う順番はこうです。
まず、義勇軍募集の高札の前で、劉備と張飛が偶然知り合います。
これは前回の記事に書いた通りです。
劉備と張飛は意気投合し、村の居酒屋で酒を酌み交わします。
すると、おなじ居酒屋にたまたま関羽がやってきます。
関羽は席につくなり、
「おい、酒を急いで頼む。これからお城の軍勢に加わりに行くのだからな」
と、自分の状況をなぜか丁寧に説明しながら注文します。(徳間書店『三国志演義』)
それを聞いて劉備と張飛は、関羽に興味を持ちます。
さっそく関羽に声をかけ、仲間に加えます。
こうして3人がそろうのでした。
「桃園の誓い」は劉備の母がセッティング(横山三国志)
意気投合した劉備、関羽、張飛の3人は、このあと有名な「桃園の誓い」をします。
「桃園の誓い」とは、3人でこれから一緒にがんばろー!おー!という誓いです。
その「桃園の誓い」にも、横山光輝さんのマンガ『三国志』と、元ネタの『三国志演義』では、多少の違いがあります。
横山三国志では、桃園の誓いをセッティングしてくれるのは、劉備の母です。
劉備の母が、村の桃園に宴席をもうけてくれるんです。
「桃園の誓い」は張飛が提案(三国志演義)
元ネタとなった『三国志演義』では、桃園は張飛の屋敷の裏にあります。
張飛は「おれの屋敷の裏に桃園があって、いま花がまっ盛りだ」と言って、そこで義兄弟の契りをむすぶことを提案します。
このへん、ちょっとした違いですけど、比べてみると面白いですね。
桃園で酔んだのは3人(横山三国志)
横山光輝さんのマンガ『三国志』では、桃園で飲み明かしたのは、劉備、関羽、張飛の3人です。
桃園で酔んだのは300人(三国志演義)
元ネタの『三国志演義』では、人数のスケールが違います。
劉備、関羽、張飛が「桃園の誓い」をしたあと、村の勇士たちがわさわさと集まって来るんです。
その数、なんと300人!
『三国志演義』には、
集まり来るもの三百余人、ともども桃園で酔いつぶれるまで痛飲した。
とあります。(徳間書店『三国志演義』より)
すごい光景ですね~。
こうして比較してみると、いろいろな発見があって楽しいです♪