味覚小説名作集「鱧の皮 」を読んで感じたこと

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先日買った『味覚小説名作集』を読んでいます。短編集です。

はじめの短編は「鱧の皮」です。

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小説のおもしろさ

小説は自分が体験したことのない未知の世界が味わえていいですよね。

それでいて、作品の中のちょっとした会話や風景に、過去の自分の体験を重ねることもあります。

作品と向き合っているように見えて、じつは自分と向き合っている。そんな瞬間です。

秋の夜風に吹かれる

たとえば「鱧の皮」に、こんな一文が出てきます。

初秋の夜風は冷々として、河には漣が立っていた。

これを読むと、何かを思い出します。(正確には、何かを思い出すような気になって楽しんでます)

かすかな記憶はウソかホントか

遠い昔。

いつかの放課後。

いつかの帰り道。

秋の冷たい風を感じながら過ごしたかすかな記憶が、思春期のいろんな感覚と一緒によみがえってきます。

はっきりと覚えているわけじゃないんです。いつかどこかで、秋の夜風に吹かれたことがあるような気がする。それだけです。

でも、それで十分なんです。

過去にあったかも知れない記憶。なかったかも知れない記憶。その渦巻きみたいな切ない混沌を味わえるだけで、ぼくにとっては大切な読書体験なんです。

味覚小説名作集 (光文社文庫)

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