モルガン財閥のゆるい伝記 第22話 世界を救う決断

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もしもA社(ムーア・アンド・シュリー社)が倒産すれば、恐慌の被害は拡大し、世界経済は壊滅する。

そのA社のようす。

社長「社員くん。ニュースを見たまえ」

社員「はい」

社長「市場の平均株価がどんどん下がっていくよ」

社員「大恐慌ですね」

社長「大変な世の中だ」

社員「でも、僕たちはまあ安心ですよ」

社長「どうして?」

社員「株価が下がると、株をたくさんもってる人は損をします。しかし僕たちは株を持ってないから。安心です」

社長「いや、じつはね…」

社員「?」

社長「おれ、株、やたら持ってるんだよね」

社員「あらら」

社長「しかも会社名義で」

社員「はぁ!? 会社が倒産しちゃうじゃないですか」

社長「ごめん」

社員「わが社が倒産すると、世の中さらに大パニックですよ。そんな株、早く売っちゃって下さい!」

社長「無理」

社員「どうして?」

社長「今さ、みんなが株を売ろうとしてるしょ。誰も買ってくれなくて」

ここはモルガン邸。

秘書「恐慌の被害が拡大してます」

息子モルガン「すごい世の中になったね」

秘書「とくにA社とか、倒産ギリギリです」

息子モルガン「A社?」

秘書「はい。ここが倒産すると、恐慌の被害はますます広がります」

息子モルガン「怖いね」

秘書「でも、モルガンさんには関係ないですよ」

息子モルガン「どうして?」

秘書「このくらいの不況では、モルガン帝国はびくともしません」

息子モルガン「でも、困る人もいるんじゃないの?」

秘書「いますね」

息子モルガン「例えば?」

秘書「ほとんどすべての人々です。倒産や自殺が相次いでいます」

息子モルガン「そうか……」

秘書「A社が倒産して被害が拡大すれば、ルーズベルト大統領も失脚します」

息子モルガン「だろうね」

秘書「これは、大統領を倒す絶好のチャンスです」

息子モルガン「……」

秘書「どうしますか?」

息子モルガン「秘書くん」

秘書「はい」

息子モルガン「A社を救う方法を、考えよう」

秘書「その言葉を、待っていました」

モルガンはA社(ムーア・アンド・シュリー社)の救済に乗り出した。

秘書「方法は、あります」

息子モルガン「どんな方法?」

秘書「A社の保有している株を買い取るんです」

息子モルガン「それだけでいいの?」

秘書「はい」

息子モルガン「簡単なことだね」

秘書「モルガンさんの財力をもってすれば、買い取るのは簡単です」

息子モルガン「では、さっそく」

秘書「ただ、問題が」

息子モルガン「なに?」

秘書「A社の保有している株というのが……」

息子モルガン「うん」

秘書鉄鋼業界の株なんです」

息子モルガン「鉄鋼業界の……!?」

秘書「はい」

息子モルガン「……かまわない。買おう」

秘書「わかっていると思いますが、これ以上鉄鋼業界の株を保有すれば、反トラスト法に触れますよ

息子モルガン「わかってる」

秘書「今度告訴されたら、モルガン帝国は解体されます」

息子モルガン「わかってる」

秘書「いいんですね?」

息子モルガン「いいよ。世界征服の夢が終わるだけだ」

秘書「心残りですか?」

息子モルガン「少しね。もっと偉大な男になれると思ったのに」

秘書「ご決断、十分偉大です」

1907年11月4日(月) モルガンは、A社(ムーア・アンド・シュリー社)の保有する鉄鋼業界の株(テネシーコール社の株)を買い取った。

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あーりーと申します。アクセスありがとうございます。布団でぬくぬくしながら本を読んだりスマホでテレビを見たり、のんびり過ごすのが好きです。

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