楠木正成のゆるい伝記 第29話 湊川の戦い

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足利尊氏は東に向かって軍を進めた。

楠木正成は西へと軍をすすめた。

両軍はしだいに接近しつつあった。

楠木「七郎」

七郎「なに? 兄ちゃん」

楠木「ホントにさ、この戦い、無理に参加しなくていいよ」

七郎「千早城での会話、覚えてる?」

楠木「どんな会話?」

七郎「あのとき僕、『兄ちゃんについていく』って宣言したしょ」

楠木「え、それ第何話さ?」

七郎第12話

楠木「もう忘れたよ」

七郎「僕は覚えてる」

楠木「そんなの、忘れてもいいのに」

七郎「そろそろ足利さんの軍が見えてくる頃だね」

楠木「うん。戦闘開始だ」

西暦1336年5月。

楠木正成の軍と足利尊氏の軍は、兵庫県の湊川で激突した。

そのころ…

京都にいる後醍醐天皇のようす。

側近「楠木さんが足利さんのところに行ったようです」

天皇「そうか。よかった」

側近「いえ、それが……」

天皇「どした?」

側近「足利さんのほうに寝返ったわけじゃなく、」

天皇「え」

側近「足利さんと戦うつもりらしくて」

天皇「うっそぉ?」

ここはふたたび兵庫県の湊川。

激戦は6時間に及んだ。

楠木「おれたち、もうどのくらい戦ってるのかな」

兵士「だいたい6時間になります」

楠木「残ってる兵力は?」

兵士「73騎」

楠木「え。73騎?」

兵士「はい」

楠木「700騎いたのに、今はもう73騎?」

兵士「はい」

楠木「あれ? 七郎はどこさ?」

兵士「ん。いませんね」

楠木「あいつ、はぐれたのかも」

兵士「あ、楠木さん、どこ行くんですか!」

楠木「ちょっと探してくる」

兵士「僕も行きます。手分けして探しましょう」

楠木「いや、ダメ」

兵士「え?」

楠木「兵士くんたちは、もう逃げな」

兵士「なんで?」

楠木「合戦は終わった。おれたちの負け。もう誰も死ななくていい」

兵士「でも……」

楠木「ひたすら東北の方角に走って行きな」

兵士「東北に?」

楠木「ずーっと走って行くと布引滝ってのがある」

兵士「はい」

楠木「そこには敵がいない。唯一の抜け道」

兵士「楠木さんは?」

楠木「七郎を探す」

兵士「一人で? 無茶ですよ」

楠木「いままでありがとう。全軍、解散!」

楠木は兵士たちを逃がし、単騎敵中に走り去った。

ここは楠木正成と対戦中の足利尊氏の陣。

足利「楠木軍は?」

部下「ほぼ壊滅しました」

足利「もうすぐ日が暮れるな」

部下「はい」

足利「暗くなる前に楠木を見つけ出せ」

部下「捕らえて、味方にしますか?」

足利「そうしたいが、おそらくそれは無理だ」

部下「でしょうね」

足利「処刑する」

部下「はい」

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