楠木正成のゆるい伝記 第26話 楠木クビ

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京都に進撃中の足利尊氏のようすは…

部下「それにしても足利さん」

足利「ん?」

部下「われわれ、大軍ですね。これ、圧勝ですね」

足利「そうとも言えない」

部下「え?」

足利「むこうには楠木がいる」

部下「いくら楠木でも、この大軍が相手じゃ……」

足利「いや。やつは油断のできない男だ」

部下「そうですけど」

足利「楠木に領土を与えよう」

部下「は?」

足利「楠木に6ヵ国を与えるんだ。それで味方に引き込む」

一方…

ここは京都。

天皇「楠木くんは天才かなぁ」

側近「天才ですよ。今回もすごい作戦を考えてくれますよ」

天皇「でもさ、天才だからっていつまでも勝ち続けられるわけじゃないよね」

側近「それは、はい」

天皇「おれ、楠木くんをクビにしようと思うんだ」

側近「えっ?」

天皇「足利尊氏はエリートで、大軍で、人望がある」

側近「そうですね」

天皇「本当はそんなやつを敵に回すべきじゃないしょ」

側近「本当はね。そうですね」

天皇「でもおれがだらしないから、建武の新政が失敗して、武士の不満がつのって……」

側近「はい」

天皇「その不満をうまく束ねた足利尊氏がむくむくと台頭してきた」

側近「そうですね」

天皇「そして、おれvs足利尊氏の戦いが始まった」

側近「はい」

天皇「極端なこと言っちゃえば、これは楠木くんとは関係ない戦いだよね」

側近「まあ、言っちゃえば、はい」

天皇「でもおれ、楠木くんの才能に甘えちゃって、戦いは全部まかしちゃっててさ。結局、楠木くんを追い詰めてるよね」

側近「そうかもしれませんね」

天皇「楠木くんは天才だ。今回の戦いには勝つかもしれない。でも、その次は?」

側近「その次も、勝つかも知れませんよ」

天皇「勝つかも知れないね。でも、そのまた次は?」

側近「……」

天皇「足利尊氏は全国の武士を味方にしてる。長い目で見れば、こっちに勝ち目はない。勝ち目のない戦いに楠木くんを巻き込んじゃってるよね、おれ」

側近「じゃあ、どうするつもりです?」

天皇「じつはね、足利尊氏が楠木くんを味方に引き入れようとしてるみたいでさ」

側近「そうなんですか?」

天皇「これ、ちょうどいいチャンスだと思うんだ。楠木くんには、足利方へついてもらおう」

側近「本気ですか?」

天皇「本気ですよ。それが楠木さんのためでしょ」

側近「たしかに。そうですね」

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