楠木正成のゆるい伝記 第21話 中先代の乱

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反乱が発生した。天皇は兵士に訊ねた。

天皇「反乱の首謀者は誰なのさ」

兵士「北条さんっていう人です」

天皇「北条さん?」

兵士「はい。北条時行さん。滅びた鎌倉幕府の残党です」

天皇「面倒くさいやつが出てきたね」

兵士「反乱軍は長野県で挙兵して、鎌倉に入りました」

天皇「鎌倉幕府を復活させる気かな?」

兵士「そうかもしれません」

後醍醐天皇と足利尊氏の会話。

天皇「と、いうわけなんだ」

足利「はい」

天皇「今から鎌倉に行って、反乱を鎮圧してもらえる?」

足利「わかりました」

足利尊氏は京都を出発し、鎌倉に向かった。

側近「天皇さん、まずいじゃないですか!」

天皇「ん」

側近「足利さんを鎌倉に行かせたのは、まずいですよ」

天皇「なんで?」

側近「足利さんはつねに監視下においておかないと」

天皇「どうしてさ」

側近「だって、ついこの前まで敵だった人ですよ。裏切るかも」

天皇「まさか。だっておれ、足利さんに字あげたんだよ、字」

側近「それでも用心しなきゃ。つねに監視下においておくべきです」

天皇「でも、もう鎌倉に行っちゃったもん」

側近「すぐに足利さんに伝えたほうがいいですよ。反乱を鎮圧したらすぐに京都に戻って来い!って」

天皇「わかった。ケータイに電話しとく。あ!」

側近「どうしました?」

天皇「おれ、足利さんのケータイ番号、知らない」

側近「じゃあ、誰かが足利さんを追いかけて行って、直接伝えないと」

天皇「楠木くんにお願いしよう」

そんなわけで。

天皇「楠木くん。ちょっとお願いがあるんだけど」

楠木「あ、待ってください。言わないで」

天皇「え?」

楠木「どんな話か、当てますから」

天皇「は?」

楠木「天皇さんの考えてることをテレパシーで当てます。むむむ~」

天皇「なにそれ?」

楠木「僕、超能力の修行中なんです」

天皇「なに、急に」

楠木「昨日、『あの人は今』でユリ・ゲラーが出てたんですよ」

天皇「テレビの影響か。でも超能力者になってどうすんのさ」

楠木「ばんばんスプーンとか曲げます」

天皇「使いづらくなるしょ」

楠木「あ、わかった。給料アップの話ですね」

天皇「違う。じつは、伝言を頼まれて欲しいんだけど……」

そして。

楠木正成は足利尊氏を追って鎌倉に入った。

楠木「おーい。足利さ~ん」

足利「あ、楠木さん」

楠木「探しましたよ。どうですか、調子は?」

足利「先程、反乱を鎮圧したところです」

楠木「さすが。仕事が速いですね」

足利「ところで、なにかあったんですか?」

楠木「京都から伝言を持って来ました」

足利「お疲れ様です。それで、伝言というのは?」

楠木「むむむ~」

足利「……?」

楠木「今、伝言内容をテレパシーで送ってます。むむむ~」

足利「テレパシー?」

楠木「どうです? なにか感じます?」

足利「テンションの違いを感じます」

楠木「他には?」

足利「なにも」

楠木「今日は僕ちょっと疲れてるのかも」

足利「ところで伝言というのは?」

楠木「今日はもう寝ます。明日また挑戦させてください」

翌日。

楠木「むむむ~……。どうです? なにか感じますか?」

足利「ぜんぜん」

楠木「寝ます」

さらに翌日。

楠木「むむむ~……。どうです?」

足利「ぜんぜん」

楠木「むむむ~天皇さんからのむむむ~伝言はむむむ~」

足利「今、口で言ってますよね?」

楠木「ばれましたね」

足利「ばれましたよ」

楠木「じゃ、口で言っちゃっていいですか?」

足利「はじめからそうしてください」

楠木「天皇さんはこう言ってました。『反乱を鎮圧したらすぐに京都に戻って来い』と」

足利「すぐに?」

楠木「はい。すぐに」

足利「もっと早く教えてくれないとダメじゃないですか~!」

ここは京都。

天皇「足利さん、戻ってこないね」

側近「はい」

天皇「まだ反乱を鎮圧できてないのかな」

側近「いえ、反乱はとっくに鎮圧したはずです」

天皇「じゃあ、どうして戻ってこないんだろう」

側近「天皇さんの管理下に戻るのがいやなのかも」

天皇「それって、どういうこと?」

側近「足利さんには反逆の意思がある、ということですよ」

西暦1335年。

北条時行の反乱を鎮圧した足利尊氏は、天皇の上京命令を無視し、そのまま鎌倉に居座り続けた。

これをきっかけに、後醍醐天皇の新政は崩壊する。

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