楠木正成のゆるい伝記 第14話 心理戦

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楠木正成は幕府の誘いを蹴った。 怒った幕府は全国の武士に号令し、楠木の千早城を包囲させた。

包囲された千早城の内部では……

七郎「兄ちゃん、前さぁ」

楠木「うん」

七郎「兵力なしでも勝てるって言ってたよね」

楠木「言ってた」

七郎「どうやるの?」

楠木「また必勝の法則を使うの」

七郎「今度はどんな法則?」

楠木「必勝の法則その5、心を攻めろ」

一方…

城を包囲している武士たちのようす。

武士1「おれ、ホントは今日、休みだったんだよ」

武士2「え、そうなの?」

武士1「それなのにゆうべ、幕府さんから電話きてさ、いきなり『あした楠木退治、頼むね』だもん」

武士2「断わればよかったのに」

武士1「さすがに幕府の頼み、断われんしょ」

武士2「そうだね」

武士1「でもさ、このへん、ホント田舎だね」

武士2「うん」

武士1「店ぜんぜんないしさ、メシも買えないよ」

武士2「あっちにラーメン屋さんが1軒だけあったよ」

武士1「ホント? じゃあ、お昼はそこに出前を頼もう」

武士2「もう頼んじゃう?」

武士1「いや。まだ腹減ってない」

武士2「だよね。朝メシ喰ったばっかりだもんね」

城の中のようす。

七郎「心を攻めろ、って?」

楠木「腕力で勝てないときは、相手を精神的に攻めてやっつけろってこと」

七郎「なるほど。心理戦ね」

楠木「うん」

七郎「で、どう攻めるの?」

楠木「あんね。ラーメン注文する」

七郎「ラーメン?」

楠木「金剛山のふもとに、ラーメン屋あるしょ」

七郎「ああ、金剛軒ね」

楠木「まずはそこに電話かけて……」

七郎「うん」

楠木「武士さんになりすまして出前を注文するの」

七郎「せこいイタズラだね」

楠木「身に覚えのない出前が届いて、武士さんたちは大パニックってわけ」

七郎「パニックになるかな……?」

楠木「なるよ。おののき、慌てふためき、『ちょっと待ってくださいよぉ』と若手芸人のようなリアクションを繰り返す」

七郎「それが、心を攻めるってこと?」

楠木「うん」

そして…

城を包囲する武士のもとにラーメン屋がやってきた。

店主「まいど~」

武士「は?」

店主「出前、お持ちしました~」

武士「いや、頼んでないけど」

店主「こちら、城を包囲中の武士さんとこですよね?」

武士「そうです」

店主「さっきご注文いただきましたよ、電話で」

武士「……?」

そのころ。

城の中では…

楠木「いや~、うまくいった。華麗だ」

七郎「この作戦、効き目あるの?」

楠木「武士さんたち、今頃びびってるよ」

七郎「そうかなぁ」

楠木「注文してないのに出前が届く恐怖」

七郎「恐怖でもないよ」

楠木「しかも、初対面なのに『まいど』と言われる恐怖」

七郎「どうでもいいよ」

楠木「武士さんたちはこの恐怖に耐えられるかな」

七郎「余裕だよ」

楠木「わかんないよ。びびって撤退するかもよ」

七郎「まさか」

この一件が、鎌倉幕府の滅亡を早めることになる。

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あーりーと申します。アクセスありがとうございます。布団でぬくぬくしながら本を読んだりスマホでテレビを見たり、のんびり過ごすのが好きです。

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