楠木正成のゆるい伝記 第13話 父と子の夢

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回想シーンのつづき。

天皇「根本の原因って、なにさ?」

天皇の父「悪しき制度だよ」

天皇「制度?」

天皇の父「今の日本の制度はおかしい」

天皇「って、つまり?」

天皇の父「引退した人間(上皇)に実権があるなんて変だ!」

天皇「う、うん」

天皇の父「現役の人間(天皇)に実権がないのも変だ!」

天皇「な、なるほど」

天皇の父「それが原因で、天皇と上皇がギスギスする」

天皇「うん」

天皇の父「これでは日本のためにならない」

天皇「そうだね」

天皇の父「では、どうすればいいと思う?」

天皇「さぁ……」

天皇の父「簡単だ。私が実権を放棄すればいい」

天皇「え?」

天皇の父「私は政治の実権をおまえにゆずる」

西暦1321年。

後宇多上皇は政治の実権を息子の後醍醐天皇にゆずった。

天皇「いいの?」

天皇の父「いい。それが日本のためだ」

天皇「西暦1086年からズーッと続いてきた制度を、いきなり変えていいの?」

天皇の父「いい」

天皇「父ちゃん、なんかカッコイイ」

天皇の父「これで天皇と上皇の権力闘争はなくなる」

天皇「これで日本、平和だね」

天皇の父「いや、まだだ」

天皇「まだ?」

天皇の父「まだ、幕府がいる。幕府がいる限り、天皇vs幕府の権力闘争が必ず起こる」

天皇「そうかもね」

天皇の父「幕府を倒せ」

天皇「うん」

天皇の父「そして天皇中心の政治を取り戻せ」

天皇「わかった」

天皇の父「10世紀前半はいい時代だった。あの頃は上皇も幕府も関係なかった。だから権力闘争もなく、天皇はのびのびと政治ができた」

天皇「へぇ~」

天皇の父「平和な時代だった」

これを『延喜・天暦の治』という。

天皇の父「息子よ、またそういう時代を作ろう!」

天皇「そういう時代って?」

天皇の父「だから、権力闘争なしで天皇がのびのび政治できる平和な時代だよ」

天皇「なるほど。いいね」

天皇の父「人はバカげた夢だと言うかも知れん」

天皇「うん」

天皇の父「時代の流れに逆らってると言うかも知れん」

天皇「うん」

天皇の父「でも、やっちゃれ」

天皇「うん。やっちゃる」

天皇の父「おれたち親子2代で、古き良き日本を復活させるんだ」

天皇「オッケー、父ちゃん!」

回想シーン、おわり。

話は現在(西暦1333年)に戻って……。

天皇「父ちゃんが死んだのは、その3年後」

側近「そんな会話があったとは」

天皇「父ちゃんは『せっかくの権力を手放してバカなやつだ』とか色々言われて死んだよ」

側近「……」

天皇「だからおれ、二人分の夢、背負っててさ。世間からなに言われても、びびってるヒマ、ないんだよね」

ここは千早城。

楠木兄弟のようす。

七郎「はい。白紙の履歴書」

楠木「さんきゅー。これで全部?」

七郎「あと2~3枚あるけど」

楠木「けっこう持ってるね」

七郎「いつでも自分を売り込めるようにね。乱世の常識だよ」

楠木「全部ちょうだい」

七郎「そんなに気合入れて書くの?」

楠木「いいから、全部」

七郎「わかったよ。はい」

楠木「よし、じゃあ、さっそくこれを……」

七郎「ペンも貸してあげるか?」

楠木「いや、いい」

七郎「でも、書くものがないと」

楠木「書かない。燃やす」

七郎「はっ!?」

楠木「マッチ、しゅっ」

七郎「うおっ」

楠木「火、ぼわっ」

七郎「履歴書、燃やしちゃうの!?」

楠木「必勝の法則その4」

七郎「?」

楠木「仲間を大切に」

七郎「……」

楠木「おれたちは天皇さんを裏切らない」

七郎「うん!」

楠木「バカげた夢につきあってみよう」

そしていよいよ…

戦闘開始。

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