楠木正成のゆるい伝記 第9話 60年前のあの事件

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というわけで。楠木正成はふたたび天皇の反乱を手伝うことになった。

七郎「でもさ、兄ちゃん」

楠木「うん」

七郎「勝算あるの?」

楠木「ある」

七郎「でもこっち兵力ないじゃん」

楠木「あ、兵力はね、いらん」

七郎「?」

楠木「兵力なしで勝つ方法、発見したんだ」

幕府のようす。

家臣「幕府さん」

幕府「ん」

家臣「また反乱です」

幕府「またぁ?」

家臣「はい」

幕府「またあの天皇?」

家臣「あと、楠木も」

幕府「じゃあ、また足利さんに鎮圧してもらうか」

家臣「でもそれ、無理っすわ」

幕府「どして?」

家臣「一応さっきお願いしてみたんすよ、足利さんに」

幕府「うん。したら?」

家臣「ヤダって」

幕府「え。断わられた?」

家臣「はい」

幕府「なんで?」

家臣「お腹痛いって」

幕府「言い訳が小3だ」

家臣「どうします?」

幕府「じゃ、他の武士に頼むしかないよね」

家臣「あ、幕府さんのケータイ、鳴ってますよ」

幕府「お。ホントだ」

幕府はケータイに出た。

幕府「もしもし、幕府です」

天皇「よぉ」

幕府「だれ?」

天皇「おれおれ、天皇」

幕府「天皇? 敵でしょ」

天皇「敵だけど電話しちゃいました~」

幕府「なにさ」

天皇「一応、反乱のごあいさつ」

幕府「そんなのいらんて」

天皇「またあれなの? 足利高氏が鎮圧に来るの?」

幕府「いや、それね、違うんだよね」

天皇「ほう」

幕府「足利さんに反乱の鎮圧、お願いしたんだけどさ、断わられちゃって」

天皇「マジ?」

幕府「マジ」

天皇「どうすんのさ」

幕府「いや、だれか他の武士に鎮圧してもらうよ」

天皇「鎮圧しないっていう手もあるしね」

幕府「ないけどね」

天皇「でもさぁ、他の武士が、きみのために本気で戦ってくれるかな」

幕府「どういうこと?」

天皇「だって、幕府と武士ってけっこうギクシャクしてるよね」

幕府「してないって」

天皇「してるしょ、あの事件以来」

幕府「あの事件?」

天皇「60年前のあの事件」

幕府「……」

天皇「日本史に残る大事件だったよね、あれ」

幕府「いや、世界史かもよ」

天皇「そうだね」

幕府「あんまり、思い出したくないけど」

天皇「あの日から、幕府と武士の関係は崩壊したんだよ」

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