楠木正成のゆるい伝記 第3話 敵の心理を読む

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ここは反乱の第二基地、赤坂城。

兵士「あー、楠木さん」

楠木「はい」

兵士「手ぇあいてる?」

楠木「え」

兵士「ちょっとさ、玄関の靴ならべといてくれない?」

楠木「靴?」

兵士「みんな脱ぎ散らかしてグチャグチャなのさ。頼むね」

楠木「……」

その夜。

楠木正成は弟の七郎(楠木正季)に電話をかけた。

楠木「おれ、今、反乱軍にいるんだけどさ」

七郎「えっ。兄ちゃん、そんなことやってるの?」

楠木「就職、なくて」

七郎「大変だね」

楠木「一応、第二基地のリーダー」

七郎「すげぇ」

楠木「でさ、ちょっと手伝ってくんねぇかな」

七郎「反乱を?」

楠木「人手が足りなくて」

七郎「そんなに足りないの?」

楠木「だっておれ、リーダーの仕事できてないもん」

七郎「そっかぁ」

楠木「今のおれ、玄関の靴ならべ係だからね」

七郎「リーダーのメーンの仕事がそれ?」

楠木「うん」

七郎「すぐ鎮圧されるね、すぐ」

楠木「でしょ。だから手伝ってよ。友達もガバッと誘ってさ」

七郎「わかった」

こうして七郎(楠木正季)とその仲間たちが赤坂城に合流した。

赤坂城での、楠木正成と七郎の会話。

楠木「参加、サンキュー」

七郎「しかしまたムチャなこと始めたね」

楠木「おれ、これで英雄になるから、よろしく」

七郎「敵の数は?」

楠木「10万くらいだってさ」

七郎「で、兄ちゃんの兵力は?」

楠木「1000人ちょいかな」

七郎「確実にボロ負けでしょ」

楠木「ふふふ。ここで負けるようじゃ、英雄にはなれないよ」

七郎「すごい自信」

楠木「作戦、聞きたい?」

七郎「うん」

楠木「戦いはまず、敵の心理を読むことだよ」

七郎「というと?」

楠木「敵は、ここには攻めてこない」

七郎「なんで?」

楠木「この赤坂城って、一応は第二基地とかいってるけど……」

七郎「うん」

楠木「正直、ちっぽけなどうでもいい基地でしょ」

七郎「そうだね」

楠木「敵は、こんな小さい城よりも、第一基地のほうを優先して攻めると思うんだよね」

七郎「第一基地って、天皇さんのいるとこだよね」

楠木「うん」

七郎「で、作戦ってのは?」

楠木「敵が第一基地を攻撃してるすきに、おれは……」

七郎「うん」

楠木「敵の背後にこっそり回りこんで、ドカーン!と攻める」

七郎「すげぇ!」

楠木「敵、きっとびびるよ」

七郎「総崩れだね」

楠木「ね、完璧でしょ?」

七郎「完璧」

楠木「孔明って呼んで。ザ・孔明って呼んで」

七郎「あえて主力部隊をオトリにするあたり、大胆でいいし」

楠木「でしょ? でしょ?」

七郎「でもさ」

楠木「うん」

七郎「敵がいきなりこっちに攻めてきたら、どうするの?」

楠木「……」

そこへ仲間の兵士が現れた。

兵士「兵士です。ご報告します」

楠木「うん」

兵士「敵が第一基地を包囲しました」

楠木「そうか。読みどおりだ」

兵士は去った。

楠木「ほらね~」

七郎「すげぇ。兄ちゃんの言ったとおりだね」

楠木「だからおれ天才なんだって~」

七郎「じゃ、さっそく敵の背後に回り込む?」

楠木「うん。敵が第一基地に夢中になってるすきにね」

兵士が現れた。

兵士「兵士です。ご報告します」

楠木「うん」

兵士「敵軍は第一基地をあっさり攻略し……」

楠木「え」

兵士「天皇さんを捕虜にし……」

楠木「え」

兵士「ものすごいスピードでこちらに向かってます」

兵士は去った。

七郎「兄ちゃん、やばいじゃん」

楠木「う、うん」

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