楠木正成のゆるい伝記 第1話 天皇vs鎌倉幕府

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鎌倉時代末期。現在の大阪府に楠木正成(くすのきまさしげ)という男がいた。

この男は、わずかな兵を率いて幕府の大軍と互角に戦い、

ついには鎌倉幕府を滅亡に追いやる。

が、それはまだ先の話。

今の彼は、パッとしない水銀の営業マン。

社長「楠木くん。きみ、入社して何年目さ」

楠木「5年か、そんくらいです」

社長「売上成績、またビリだね」

楠木「すいません」

社長「うちの商品は、千早で採れるハイクオリティな水銀だよ。なんで売れないのさ」

楠木「でも普通、水銀を買う人なんて、いませんよね」

社長「なに言ってるの。いるしょ」

楠木「たとえば?」

社長「仏像づくりとか、色づくりの現場」

楠木「知らなかった!」

社長「勉強不足」

楠木「だって、この仕事、おもしろくなくて」

社長「もう一度言ってみろ」

楠木「だって、この仕事、おもしろくなくて」

社長「リストラしてやる。リストラクチュアリングだ!」

天皇(後醍醐天皇)と幕府(鎌倉幕府)の会話。

天皇「ねぇねぇ」

幕府「ん?」

天皇「おれの偉さについて、語らない?」

幕府「え、それだったらさ、おれの偉さについて語ろうよ、しかも熱く」

天皇「それはダメだよ」

幕府「なんで?」

天皇「だってきみ、それほど偉くないしょ」

幕府「おいおいおい。出たよこれ、天然発言」

天皇「なんだと」

幕府「おれ、偉いに決まってるしょ」

天皇「でも、おれのほうが偉いよ。天皇だし」

幕府「なに言ってるの。おれ幕府だよ。武士のトップだよ」

天皇「なにさ、この前(1322年)安藤さんが反乱を起こしたとき、やたらびびってたくせに」

幕府「そういうこと言うんでないやー」

天皇「とにかく、おれのほうが偉いから」

幕府「いや、おれのほうが偉いって」

天皇「じゃ、勝負する?」

幕府「お、幕府に逆らう気?」

天皇「うん。対決だ!」

西暦1331年8月。

天皇(後醍醐天皇)は幕府への叛意を明らかにし、笠置山に篭城した。

ここはハローワーク。

職員「以前は水銀の営業をされてたんですね」

楠木「うん」

職員「ではやはり、営業職をご希望ですか?」

楠木「いや」

職員「では、どんな仕事を?」

楠木「おれね、生き方、変えようかと思って」

職員「と、いうと?」

楠木「もっと派手に生きるわ」

職員「派手に?」

楠木「うん。歴史に名を残すくらいド派手に」

職員「で、ご希望の職種は?」

楠木「英雄」

職員「それでしたら、こちらがおすすめです」

職員は一枚の書類を差し出した。

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