豊臣秀吉のゆるい伝記 第45話 乱世は終わった

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ここは大阪。秀吉の家のチャイムが鳴った。

秀吉「はーい。どなた?」

北条家の父「北条家の父です」

秀吉「あ、どうも」

北条家の父「こんにちは(笑顔)」

秀吉「こ、こんにちは」

北条家の父「笑顔がかたくてすいません」

秀吉「い、いえ…」

北条家の父「先日は電話で失礼しました」

秀吉「実際に会うのははじめてだね」

北条家の父「はい」

秀吉「関東からはるばる来たの?」

北条家の父「来ちゃいました」

秀吉「まあ、どうぞ入って入って」

北条家の父「今日は息子のことでお詫びに来ました」

秀吉「まだぼくをボコボコにするって言ってます?」

北条家の父「言ってますね。朝昼晩、言ってます」

秀吉「マジっすか…」

北条家の父「ご迷惑をおかけしてすいません」

秀吉「一応、戦国時代はもう終了したんですよ」

北条家の父「ニュースで見ました」

秀吉「だから、これからはルールを守って平和にお願いしますね」

北条家の父「でも、ぶっちゃけた話、しちゃっていいです?」

秀吉「え。うん。いいよ」

北条家の父「日本って今までずーっと戦国時代だったでしょ」

秀吉「うん」

北条家の父「だから、みんなの中に甘えがあると思うんです」

秀吉「甘えっていうと?」

北条家の父「ちょっとくらいルール無用でも、まあ許されるでしょうっていう甘え」

秀吉「はぁ、なるほど」

北条家の父「そういう甘えをなくすには、見せしめが必要だと思うんですよ」

秀吉「見せしめ?」

北条家の父「平和を乱す人間には罰を与えますよ、っていう見せしめ」

そこへ兵士があわててやってきた。

兵士「秀吉さん、事件です!」

秀吉「どした?」

兵士「北条家の息子さんが、打倒秀吉の旗をあげて暴れだしました」

秀吉「えぇっ!」

西暦1589年。

北条家は上野国(こうずけのくに)の名胡桃城(なくるみじょう)を奇襲攻撃し、奪取した。

北条家の父「きっと僕へのプレゼントのつもりなんですよ」

秀吉「プレゼント?」

北条家の父「ひと様のお城うばって、父親へのプレゼントだなんて。もう戦国時代は終わったっていうのに、バカな子でしょ」

秀吉「……」

北条家の父「どんなバカな顔してるか、もっとよく見ておけばよかった」

秀吉「え、どういう意味?」

北条家の父「秀吉さん…」

秀吉「はい」

北条家の父「というわけで、僕、切腹しますね」

秀吉「え!?」

北条家の父「北条家は罰を受けなくちゃなりません」

秀吉「なにも切腹なんかしなくても…」

北条家の父「平和を乱すものはこうなる、っていうガツンとした見せしめが必要でしょ」

秀吉「いや、」

北条家の父「大丈夫。きちんと死にますよ」

北条家の父は笑った。

秀吉「ずるいよ。こんなときだけ笑顔うまくて」

北条家の父「そのかわり、できれば息子を助けてあげてください」

惣無事令にそむいた責任をとり、北条家の父(北条氏政)は自害した。

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