秀吉が思いついた策とは……
兵士「どんな失敗を思いついたんですか?」
秀吉「あんねぇ、敵に親切にするの」
兵士「親切って、たとえば?」
秀吉「やっぱさ、戦争って金かかるしょ」
兵士「はい」
秀吉「敵も軍資金の調達に必死だと思うんだよね」
兵士「でしょうねぇ」
秀吉「だから、おれがあっさりお金をあげるの」
兵士「敵にお金をあげちゃうんですか?」
秀吉「うん。そしたら敵、ウハウハでしょ」
兵士「でもこっちが困りますよ」
秀吉「いいの。負けるためにやるんだから」
兵士「そんな……」
秀吉「さっそく作戦開始~♪」
秀吉は商人に変装して敵の兵士のところへ行った。
敵1「む。あやしいやつ。とまれ!」
秀吉「どーも」
敵1「何者だ」
秀吉「商人っすよ、商人」
敵1「商人?」
秀吉「はい。その証拠にほら、お金もってます、いっぱい」
敵1「おお~。大金だな」
秀吉「よかったら、あげますけど」
敵1「えっ。なんで?」
秀吉「なんでって、べつに。とにかくあげますよ」
敵1「ホントにいいの?」
秀吉「いいですよ」
敵1「だってコレすごい大金だよ。米100俵は買えるよ」
秀吉「買えますね」
敵1「どうしてもっていうんなら、もらっちゃうけど」
秀吉「はい、あげます。どうぞ」
敵1「なんか、悪いねぇ」
秀吉は敵に大金をわたした。
秀吉「では、僕はこれで。さよなら」
敵1「あ、待って」
秀吉「はい?」
敵1「一応、お礼をうけとってよ。ほんの気持ちだけど」
秀吉「お礼って、なんですか?」
敵1「うちの城のありったけの米。10俵しかないけどね。ふふ」
秀吉「いいんですか、もらっちゃって?」
敵1「いいよ。どうせ君からもらったお金で100俵買えるし」
秀吉「じゃ、お言葉に甘えて」
秀吉は敵から米をうけとった。
その夜。
ここは敵の城。
敵1と敵2の会話。
敵2「あれ~、おっかしいなぁ~」
敵1「どした?」
敵2「ここにあった米、知らん?」
敵1「ああ、米ね、商人にあげた」
敵2「はぁ? ぜんぶ?」
敵1「ぜんぶ」
敵2「やばいじゃん。おれら、喰うものないじゃん!」
敵1「大丈夫。そのかわりに大金をもらったから。ほら、これ」
敵2「おお~。すごい。それだけあれば米100俵は買えるぞ」
敵1「さっそく買いにいこう」
敵2「うん」
敵1「……」
敵2「……」
敵1「そういえばこの城、秀吉にぐるっと包囲されてたんだね」
敵2「……うん」
敵1「米、買いにいけないね」
敵2「う、うん」
敵1「おなかすいた……」
敵2「おれも」
敵1「じゃ、降参しちゃおうか」
敵2「そうだね」
西暦1581年10月。
秀吉の頭脳的な兵糧攻めによって、鳥取城は陥落した。
秀吉の評価がまた高まった。