豊臣秀吉のゆるい伝記 第4話 草履取り

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

松下家をクビになった秀吉は、故郷の愛知県にもどり、友達と再会した。

秀吉「やぁ。帰ってきちゃった」

友達「あれ? なした? 静岡県で武士になるんじゃなかったの?」

秀吉「クビんなった」

友達「なんで?」

秀吉「壮大な陰謀に巻き込まれてね」

友達「ていうか、いじめられたんでしょ」

秀吉「うん」

友達「いきなり見知らぬ土地ではりきるからだよ」

秀吉「やっぱ地元で就職しないとダメかなぁ」

友達「じゃ、織田信長んとこ行ってみれば? バイト募集してたよ」

秀吉「えー、でもルーキーなんでしょ、その人」

友達「うん。まだ21歳」

秀吉「すげぇ弱そうなんですけど」

友達「いや、年齢で判断しないほういいって」

秀吉「そっか。今は実力主義の時代だもんね」

友達「うん。中身で判断しないと」

秀吉「信長って、中身いいの?」

友達「悪い」

秀吉「ダメじゃん!」

友達「みんなからウツケって呼ばれてるらしいよ」

秀吉「ウツケ?」

若き日の信長は奇行が目立ち、周囲からウツケ(愚か者、アホ)と呼ばれていた。

秀吉「でもそういうのってなんか、大物っぽくない?」

友達「そう?」

秀吉「信長ってさ、じつはすごい大物かもよ」

友達「じゃ、彼のもとでバイトしてみる?」

秀吉「うん。仕事の内容、どんなのさ?」

友達「草履取り」

秀吉「草履取り? なにそれ」

友達「信長ってね、すぐ自分の靴どれかわからんくなるんだよね」

秀吉「えっ。やばいしょ」

友達「そういうときに『靴、これですよ』って取ってあげる係」

秀吉「信長、大丈夫?」

友達「だからウツケなんだって」

秀吉「ぜんぜん大物じゃないかもね……」

西暦1554年。

秀吉(18歳)は織田信長(21歳)の草履取りになった。

冬のある日。

秀吉は信長のお供をして外出した。

すると突然…

信長「キーック!」

秀吉「うぎゃ!」

秀吉は背中を蹴られた。

信長「どう? おれのキック」

秀吉「いや、どうって……」

信長「おれが開発したサンダルキック」

秀吉「は、はい」

信長「サンダル履いてキックしただけじゃん!って、どう? この一人つっこみ」

秀吉「……はぁ」

信長「真冬なのにサンダルなおれって、最高だよね」

秀吉「さ、最高っす」

信長「じゃ、おれ、この家に寄って行くからさ、外で待ってて」

秀吉「はい」

信長「ちゃんとサンダル見張っててね」

秀吉「わかりました」

信長「寒いからって、サンダルの上に座ったらダメだよ」

信長は知人の家の中に入っていった。

外に残された秀吉は……

秀吉「なんかムカツクなぁ。よし、サンダルに座ってやれ!」

1時間後。

信長が戻ってきた。

信長「おれのスーパーサンダル、見張っててくれた?」

秀吉「は、はい」

信長はサンダルを履いた。

信長「む?」

秀吉「ど、どうしました?」

信長「あったかい」

秀吉 ギクッ!

信長「このサンダル、あったかいんだけど」

秀吉「いや、じつは、その……」

信長「座ってたしょ? おもっきし」

秀吉「す、座ってませんよ」

信長「だってあったかいよ。ホントは座ったんでしょ? はい、切腹」

秀吉「げっ! ほ、ほんと座ってませんって」

信長「じゃ、なんであったかいのさ」

秀吉「真冬だから、信長さん、足冷たいかな~と思って温めておいたんです。僕の服の中に入れて」

信長「証拠は?」

秀吉「ほら、背中、見てください」

信長「あ、サンダルのあとがくっきり!」

秀吉「ね、背中に入れて温めてたんですよ」

信長「えらい! 感動した!」

秀吉「キックの跡だけどね(ぼそっ)」

信長「え? なに?」

秀吉「いや、なんでもないです」

信長「ていうか、疑ってごめんね。おわびに出世させてあげる」

秀吉はこうして草履取り頭に出世した。

ここから彼の立身出世物語がはじまる。

第5話へ

豊臣秀吉のゆるい伝記トップへ戻る

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク